柔術のスタミナ不足は呼吸が原因?スパーですぐバテる白帯の5つの対策

この記事の結論
- 白帯がスパー1本目でバテる原因は、体力不足よりも「息を止めて力んでいること」である場合がほとんどです
- 押さえ込まれたらまず息を吐く。勝負どころ以外は6割の力で動く。この2つだけでも、スパーの持ち方が変わります
- 腕だけで押し返さず、腕を伸ばして骨で支える(フレーム)。筋力ではなく骨格で耐えると、体力は驚くほど残ります
白帯あるある「スパー1本目で体力が尽きる」
柔術を始めたばかりの頃、スパーの1本目が終わった時点で息が上がり、2本目は立っているのがやっと。そんな経験はないでしょうか。白帯なら、ほぼ全員が通る道です。
不思議なのは、同じ時間スパーをしているはずの帯上の人たちが、涼しい顔で何本も続けていることです。年齢が上の人や、見るからに筋肉があるわけではない人でも、平気で動き続けています。
この差は、体力の差だけではありません。もちろん慣れや体力も関係しますが、白帯がバテる一番の原因は「使わなくていい場面でエネルギーを使っていること」です。具体的には、次の3つがよく挙げられます。
- 押さえ込まれている間、息を止めて全身に力を入れている
- 最初から最後まで全力で動き続けている
- 腕の筋力で相手を押し返そうとしている
裏を返せば、この3つを直すだけで、同じ体力でもスパーをずっと長く続けられるようになります。ここからは、一つずつ対策を見ていきます。
対策1:呼吸を止めない。押さえ込まれたら、まず息を吐く
柔術で一番大事なスタミナ対策は、呼吸です。地味に聞こえますが、白帯がバテる原因の大半はここにあります。

なぜ白帯は息を止めてしまうのか
サイドやマウントで上から押さえ込まれると、胸やお腹が圧迫されて苦しくなります。すると反射的に体を固め、息を止めて耐えようとしてしまいます。重いものを持ち上げるときに「ふんっ」と息を詰めるのと同じ反応です。
ところが、息を止めて力み続けると、あっという間に苦しくなります。苦しくなるとさらに焦って力み、また息が止まる。この悪循環で、数分のスパーでも体力を使い果たしてしまうのです。
「吸う」より先に「吐く」
押さえ込まれたときに意識したいのは、吸うことではなく吐くことです。苦しいと吸おうとしがちですが、胸が圧迫された状態では思うように吸えません。先に息を吐ききると、体の力みが抜け、次の息が自然に入ってきます。
- 押さえ込まれたら、まず口から「ふーっ」と長く吐く
- 吐きながら、肩と首の力を抜く
- 動く瞬間(エビやブリッジ)に合わせて、短く強く吐く
技を出す瞬間に息を吐く癖がつくと、力みすぎを防ぐこともできます。最初はスパー中に思い出せなくても大丈夫です。「1本のスパーで3回、押さえ込まれたら息を吐く」くらいの小さな目標から始めてみてください。
POINT
苦しいときほど「吸う」より「吐く」。押さえ込まれたら、まず息を長く吐いて肩の力を抜きましょう。それだけで、焦って暴れる時間が減り、体力の消耗がぐっと少なくなります。
なお、スパー中や練習後にめまいや強い息苦しさ、胸の痛みを感じたときは、我慢せずにすぐスパーを抜けて休んでください。症状が続く場合や、いつもと違うと感じた場合は医療機関を受診しましょう。
対策2:勝負どころ以外は「6割の力」で動く
白帯のスパーは、開始の合図から終わりまでずっと全力になりがちです。負けたくない、何もできないまま終わりたくない、という気持ちはよく分かります。でも、全力を数分間続けられる人はいません。
力を入れる場面を選ぶ
帯上の人たちは、ずっと力を抜いているわけではありません。エスケープの瞬間、パスを決める瞬間、サブミッションを仕掛ける瞬間など、「ここ」という場面でだけ強く動き、それ以外は力を抜いて様子を見ています。
目安は、普段は6割くらいの力で動き、勝負どころだけ一気に力を出すことです。6割というのは正確な数字ではなく、「余力を残しておく」という感覚の話です。常に少し力を残しておけば、チャンスが来たときに動けます。
握りっぱなしにしない
意外と体力を奪うのが「握り」です。道着の襟や袖を、ずっと全力で握りしめていないでしょうか。前腕がパンパンになり、握力がなくなると、後半は何もできなくなります。指の関節を痛める原因にもなります。
グリップは「必要なときだけ強く握り、それ以外は軽く添える」くらいで十分です。握力が先に尽きる人は、まずここを見直してみてください。
対策3:腕で押し返さず、骨で支える(フレーム)
押さえ込まれたとき、腕の力で相手の胸や肩を押し返そうとしていませんか。これは白帯がバテる典型的な動きです。腕の筋力で人一人分の体重を押し続けるのは、ほぼ不可能です。
そこで使うのが「フレーム」です。前腕やすねを、相手の首元や腰骨に当てて、つっかえ棒のように置きます。筋肉で押すのではなく、骨の向きで相手の体重を受け止めるのがポイントです。
- 前腕の骨を相手の首元や腰骨に当てる
- 肘を自分の体の近くに置き、骨の線で体重を受ける
- 「押す」のではなく「置いて止める」
フレームで相手の動きを止めておけば、その間に呼吸を整えたり、エビで腰を逃がしたりできます。フレームの形やエビとの組み合わせ方は、白帯が最初に覚えるべきエスケープ3選で詳しく解説しています。
注意したいのは、腕をまっすぐ伸ばしきって相手を押すことです。伸びきった腕は相手に取られやすく、腕十字などの関節技のチャンスを与えてしまいます。腕を伸ばして骨で支えるときも、相手に腕を抱えられていないかは常に気にしておきましょう。
バテる動きとバテない動きを比べてみる
ここまでの内容を、スパー中の場面ごとに整理しておきます。自分がどちらの動きをしているか、振り返ってみてください。
| 場面 | バテる動き | バテない動き |
|---|---|---|
| 押さえ込まれたとき | 息を止めて全身を固める | まず息を吐いて肩の力を抜く |
| 相手が重いとき | 腕の筋力で押し返す | 前腕やすねを当て、骨で支える |
| グリップ | 襟や袖をずっと全力で握る | 必要なときだけ強く握る |
| 動き出し | ずっと全力で暴れ続ける | 普段は6割、勝負どころで一気に動く |
| 悪いポジション | 焦って一発逆転を狙う | 守りを固めて相手のミスを待つ |
| スパーの合間 | 座り込んで呼吸が荒いまま次へ | 息を吐いて整え、水分をとる |
対策4:悪いポジションでは「省エネ」で耐える
白帯のスパーは、時間の大半を下で押さえ込まれて過ごします。だからこそ、悪いポジションでどれだけ体力を使わずに耐えられるかが、スタミナに大きく影響します。
暴れるより、守りを固める
サイドやマウントを取られると、なんとか逃げようとして全力で暴れたくなります。でも、形のないまま暴れても相手はびくともせず、体力だけが減っていきます。
まずは守りを固めることを優先しましょう。
- 肘を脇につけ、首と腕を取られないようにする
- フレームを作って、相手との間に少しでも空間を確保する
- 息を吐いて、体の力を抜く
守りの形ができていれば、相手も簡単には攻められません。相手が攻めようとして動いた瞬間に、隙ができることもあります。そのタイミングでエビやブリッジを使えば、少ない力で逃げられる可能性が高まります。
「逃げられなくてもいい」と割り切る
白帯のうちは、悪いポジションから逃げられないのは当たり前です。毎回逃げようとして体力を使い果たすより、「今日は守りの形を崩さずに耐える」とテーマを決めるのも一つの方法です。焦りが減ると、自然と呼吸も楽になります。
対策5:スパー前後の過ごし方を見直す
スパー中の動きだけでなく、その前後の過ごし方もスタミナに関わります。

スパー前
- ウォーミングアップは手を抜かずに行い、体を温めておく
- 練習直前に満腹になるほど食べない
- 水分はこまめにとっておく
スパーの合間
- 終わったら座り込む前に、何度か長く息を吐いて呼吸を整える
- 水分補給ができる道場なら、少しずつ飲む
- 苦しいときは無理に次の1本に入らず、1本休む
スパーを1本休むのは、恥ずかしいことではありません。「ちょっと休みます」と言えば、ほとんどの道場で問題なく受け入れてもらえます。体調がすぐれない日や、睡眠不足の日も無理は禁物です。
スパー後
練習後は、今日バテた場面を振り返ってみましょう。「サイドで潰されたとき息を止めていた」「最初の1分で全力を出しすぎた」など、具体的に思い出せると次の練習で直しやすくなります。練習ノートやアプリにメモしておくと、自分のバテ方の癖が見えてきます。
体力づくりは「練習に通うこと」が一番の近道
ここまで「力の使い方」の話をしてきましたが、もちろん体力そのものも大切です。ただ、白帯のうちに一番効くのは、特別なトレーニングよりも、柔術の練習そのものに慣れることだと感じます。
柔術には、組み合いの中で使う独特の体の使い方があります。最初のうちは、どこに力を入れればいいのか分からないため、余計なエネルギーを使ってしまいます。練習に通う回数が増えるほど、体の使い方に慣れ、同じ動きでも疲れにくくなっていきます。
補助的に体力をつけたい場合は、ウォーキングや軽いジョギング、自重のトレーニングなど、無理なく続けられるものを取り入れるのも一つの方法です。ただし、新しい運動を始めるときは少しずつ負荷を上げ、痛みや体調の変化を感じたら休みましょう。持病がある場合や体力に不安がある場合は、事前に医師に相談すると安心です。
まとめ——バテないコツは「力を抜く場所」を知ること
スパーですぐバテるのは、体力がないからではなく、力の使い方をまだ知らないからです。白帯のうちは、誰もが同じところでつまずきます。
- 押さえ込まれたら、まず息を吐く
- 勝負どころ以外は6割の力で動く
- 腕だけで押し返さず、腕を伸ばして骨で支える(フレーム)
- 悪いポジションでは暴れず、守りを固めて耐える
- スパーの合間は呼吸を整え、苦しいときは1本休む
全部を一度に意識する必要はありません。まずは「押さえ込まれたら息を吐く」の一つだけ試してみてください。それだけでも、スパーの終わり方が少し変わるはずです。
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